筋金入りの長宗我部ファンの歴史オタク「A」が、あの世でついに仙石秀久と対峙するという因縁の対決を描いた小説シーンです。
ラストには、長宗我部元親・信親の親子本人も登場させて、読後に余韻が残るような仕立てになっています。


※文章は、chatGPTで生成しております。

目の前に広がるのは、どこまでも霞がかった白い原。

彼岸の地である。
ふと、己がすでにこの世を去った身であることを、Aは思い出した。

「……死んだ、のか、俺……。トラックに轢かれて……」

目の前をふわりと蝶が舞った。
だが彼には、感傷に浸っている暇などない。

「よし、行くぞ。どこにいる、仙石秀久……!」

握りしめた拳。
長宗我部元親公を心から敬愛していたAにとって、仙石秀久は不倶戴天の仇であった。

「戸次川……貴様さえいなければ、信親様は死なず、元親公も……あんなふうに闇落ちなんてしなかったんだ……!」

Aは怒りに燃え、霊界の案内人すら引かせるほどの勢いで突き進んだ。

やがて、静かな庭園のような広間にたどり着いた。
座して茶を啜っていた男が、Aを見て微笑む。

「ようこそ、旅人。……して、拙者に何か御用かな?」

――仙石権兵衛秀久、その人である。

「あるに決まってんだろうがああああッ!!」

Aは鬼の形相で前に出る。
天界の風も止まるほどの怒気が、彼の身を包んでいた。

「てめえが、てめえが!! 戸次川で勝手に出撃さえしなきゃ、元親公も信親様も……長宗我部家は……!!」

その叫びに、秀久の目がわずかに揺れた。
そして、彼は静かに、盃を置いた。

「……わかっておる」

「はあ!?」

「わかっておる、と言ったのだ。あの出撃が誤りであったことはな。
秀吉公の命を無視した、慢心と功名心のなせる業――拙者の一生の汚点だ」

一瞬、Aの怒気が止まる。

「……だったら、なぜ……」

「拙者は、信親殿の死をもって、すべてを悟った。
戦は、武名や功を立てる場ではない。命を預かるということが、いかに重いか――」

だが、秀久の語りがいかに誠実であろうと、Aの胸にはなお燻る思いがあった。

「それでも、お前は改易されて、のうのうと復活して、家まで残して、長宗我部家は……!」

Aの目に、怒りとも、悔しさともつかぬ涙が浮かぶ。

「元親公は、信親様の死で性格が変わってしまったんだ。あの名君が……。
そして後継に盛親様を立てて、それが関ヶ原で西軍について……もう、全部、全部……!」

「……申し訳なかった」

その言葉に、今度は秀久が、深く頭を下げた。

「あの時、拙者が耳を傾けていれば。元親殿の忠告を無視しなければ――」

「謝ったところで、何も戻らねえんだよ……!」

声が震える。
Aは、知らず拳を握りしめたまま、泣いていた。

そのとき、静かに、歩み寄る二つの影があった。

「それまでにしておけ」

澄んだ声が、空気を裂いた。
凛とした気迫に振り返ると、そこに立っていたのは――

長宗我部元親。
そして、その隣には、若く、真っ直ぐな眼差しをした信親がいた。

「……も、元親公……信親様……!」

Aは言葉を失う。

元親は静かにAを見つめ、そして、ふっと口元を緩めた。

「そなたの忠義の心、しかと受け取った。
だが、もう良い。秀久殿もまた、その咎を一生抱えてきたのだ。
それを、死してなお責め続けることに、何の意味があろうか」

信親も、柔らかく笑った。

「私は、誰のせいにもしていない。命を賭して戦うのが、武士の道。
私が討たれたのは……私の運命でございましょう」

「そ、そんな……そんなに優しいんですか……あなたたちは……!」

Aは、膝をついた。
思いをぶつけるために来たはずだった。
だが、ここにいたのは、歴史に翻弄された者たちではなく、それを受け入れ、超越した魂たちだった。

元親は、そっとAの肩に手を置いた。

「立て。今度は、そなたが我らの物語を伝えてゆくのだ。
秀久殿の失敗も、信親の死も、そして我が家の終わりも――すべてが歴史だ」

「……はい。拙者、生きてはいませんが……この世の誰かに、きっと語り継いでみせます……!」

Aは涙を拭い、立ち上がった。

遠く、彼岸の空に、風が渡る。

それは、戦国を駆け抜けた名もなき者たちの、静かな鎮魂の風だった。

(了)