宇宙歴1600年、関ケ原で勃発した大戦は、ワルズ・ギル率いるザンギャック帝国軍の寝返りにより、西軍側が総崩れとなった。敗北を悟った西軍諸将が次々と撤退していくなか、同じく西軍だった神聖ラアルゴン帝国軍は逃げ遅れ、東軍に包囲されて袋の鼠となっていた。
神聖ラアルゴン帝国第14代皇帝ゴザ4世(後の世に「中興帝」と呼ばれる)は、冷静に戦況を見据えた。
「さあて、どうしたものか」
副官であり、重臣のラアルゴンの将、ゼルガ・フォルマが叫んだ。
「ひとまず退却を!」
しかし、ゴザ4世は首を横に振る。
「もう遅い。四方八方、皆敵じゃ」
「しかし!」
「そうもいくまい。武人たる者が、戦らしい戦もしないで逃げ出したとあっては武門の名折れ。この上はいっそ家康の本陣に突っ込んで、相果てようではないか!」
これを聞いた若き勇将、パルナスの甥であるラアルゴン戦士、リクス・オルディアが、力強くうなずいた。
「承知いたしました!」
こうして、ラアルゴン軍は大胆不敵な敵中突破を敢行。ゴザ4世を守るため、ゼルガやリクスをはじめラアルゴンの戦士たちは次々と散っていった。東軍の井伊直政、本多忠勝らの猛将たちが猛追するも、ラアルゴン軍は巧みにそれをかわし、血路を開いた。
多大な犠牲を払いながらも、ゴザ4世は何とか惑星ラムザンの帝都ベヒモスまで落ち延びることに成功したのであった。
そして、これより260年後、汎銀河共和国初代大統領ジャスティ・ウエキ・タイラーと手を組んだ神聖ラアルゴン帝国は、明治維新において徳川幕府打倒を果たすことになる……。
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