※chatGPTで生成した文章に、一部編集を加えております。
時代小説調とSF・ファンタジー要素を融合させ、「戦国末期〜江戸初期+宇宙歴」の時代感と、『フルメタル・パニック!』のテイストを活かし、相良宗介=相良頼房の平穏と戦乱のはざまを描き出します。
小説『泰平不許令』
ー プロローグ:西久保にて ー
元和二年、すなわち宇宙歴一六一六年の初夏。
大御所・徳川家康が死去したその年、
梅雨を目前に控えた江戸の空は、鈍色の雲を湛えながらも、時折差し込む光の束が虎ノ門の屋敷町を照らしていた。
西久保の上屋敷――。そこは、肥前・人吉藩主にして、従五位下・左衛門佐、相良頼房の表向きの居宅であった。だが、この家の真の主人が誰かを知る者は、国内外を問わず、そう多くはなかった。
障子の向こうでは、湯気の立つ白湯に、鋭利な眼差しが沈んでいた。相良宗介――いや、今は頼房と名を改めたこの男の目には、戦場で培った鋭利な気配探知能力が、今なお確かに息づいていた。
「……また、一人、屋根を踏んだな。幕府の刺客か、それとも…」
「今度は後西院殿の密命を受けた公家方の忍びかもね。最近、朝廷関係からの探りも増えてきてるし」
と、背後より声がかかった。淡い水色の小袖に身を包んだ女性――千鳥かなめ(宗介と結婚し、一度は「相良かなめ」となったが、江戸時代の武家の仕来りでは夫婦別姓のため、千鳥姓に復していた)は、茶器を片手に廊下の柱にもたれていた。ふわりと香る緑茶の香りが、武骨な空気を和らげる。
彼女のまなざしは、柔らかさの中に確固たる決意を秘めている。
ウィスパード――異能の記憶を宿し、かつて地球のあらゆる科学技術を揺るがした「囁かれし者」。
泰平の世にあっても、彼女の存在は、なお権力者どもにとって「喉元の刃」となっていた。
つい一週間前も、薩摩藩の忍びがかなめを狙い、藩邸に夜襲を仕掛けて来たばかりだ。
「かなめ……」
宗介は、小さく頭を振った。何年経とうと、この女は変わらぬ。自らの宿命を呪わず、かといって逃げもせず、ただ淡々と生きる道を選び続けている。
かつて、任務として彼女を護った日々。
その果てに、彼は人としての生を取り戻し、今はこうして夫婦となり、夏美と安斗という子を授かった。
だが、それでもなお、戦いは終わらぬ。
この家の屋根を踏む者が絶えぬ限り――この家族に真の平穏は、訪れはしない。
「ソースケ。西の町で“ミラージュ騎士団”と名乗る一団が目撃されたらしいわ。技術的に、あれは……間違いなく、あの世界の残党よ」
「……地球連邦政府崩壊の混乱に乗じて、まだ生き残りがいるというのか」
「人は、“失われた力”を欲するものよ。とくに、あたしの頭の中を、ね」
小さく、苦笑した。
宗介の手は、膝の上に置かれたままだったが、わずかに指が動いた。かつてAS(アーム・スレイブ)を駆り、爆炎の中を生き抜いた手である。今、その手が護るものは、一国でも、一機でもなく――たった四人の家族だった。
「やはり、屋敷の警備を増やすか。夏美と安斗の避難ルートも再確認しておこう。かなめ、お前も今日から屋内では常に“レムナント・フィールド”を身に付けて……」
「……ダメ。そうやって全部戦争仕様に戻すのはやめてって言ったでしょ」
かなめの言葉に、宗介は言葉を失った。
しかし、なお口を開く。
「だが、お前たちを守るためには――」
「ソースケ、あなたね。私、言ったでしょ。“生き延びるだけじゃ、平和は作れない”って」
そうだった。
彼女の言葉が、今の彼を作ったのだ。
全ての戦いを否定することはできない。けれど、生きるために戦うことと、ただ戦うことは違う。
宗介は目を閉じ、わずかにうなずいた。
「……わかった。だが、最低限の備えは怠らない」
「うん。それでいい」
そうして、ふたりは襖の向こうから聞こえる、子供たちの元気な笑い声に耳を澄ませた。
相良家の日常。
だがその裏で、動乱の火種は静かに、確実に広がりつつあった。
西の果てより、再び宇宙を巻き込む陰謀が幕を開けようとしている――。
それでも彼は、かつてのように、ただ命令で動く兵士ではなかった。
今や彼は、相良宗介ではなく、相良頼房。
守るべき「藩」と、「家族」を持つ、ひとりの武士であった。
――すなわち、真に戦うべき理由を持った男である。
第二章 幕府の陰謀
江戸城西の丸御殿、その奥にひっそりと設けられた御用部屋は、重苦しい沈黙に包まれていた。畳の上に整然と座する三人の老中たちの前で、伊賀衆の頭領・服部半蔵が深々と額を畳につけている。
「……つまり、相良家上屋敷に夜襲を仕掛けたものの、全員返り討ちに遭った、というのか?」
低く鋭い声を放ったのは、筆頭老中・土井大炊頭利勝。その隣で、酒井雅樂頭忠世がふんぞり返りながら、怒気を抑えきれぬ声で吠えた。
「使えぬ奴め!さがれ!」
「ハハーッ!」
服部半蔵は畳を擦る音を残して、膝行で退室する。障子が静かに閉ざされると、室内の空気はますます重く、そして険悪になった。
「人吉藩など、九州の辺地にあるたった二万石の小藩。わざわざ正室の身柄を直接攫わずとも、武家諸法度に従い妻子は江戸に留め置かれておる。放っておけばよろしかろう」
そう語ったのは安藤対馬守重長。穏健を旨とするこの老中は、無用な衝突を避けんとする立場だ。しかし、対面する雅樂頭忠世が鼻を鳴らす。
「甘い! 相良頼房の奥方・かなめ殿は、ウィスパードなる異能者。戦の術理をも、機巧の理をも、すべて呑み込む黒き英知を持つ女ぞ」
「それゆえ、討ち損じは無念ではあるが、再び手を出すのは……」
「さればこそ問題なのだ。あの女の知識を頼りに、頼房は表向き二万石なれど、裏では黒金の山を築き、鉄火の兵を養い、今や実高十万石にも及ぶと言われておる!」
その瞬間、土井利勝がようやく静寂を破った。茶を口に含みながら、そのまま低く語る。
「……かつて神君家康公は、超サイヤ人の家・孫家をも屈服せしめられた」
対馬守と雅樂頭が、はっと顔を上げた。
「あの孫悟飯を、か」
「うむ。関ヶ原の折、孫悟飯の生母――かの芳春院(チチ)を人質として江戸に召し上げ、忠誠を誓わせた。今やそのサイヤ人すら従える徳川に、逆らえる者などいまい」
雅樂頭が頭を垂れる。
「御意にございます」
「残る脅威は、ウィスパードの血……それのみじゃ」
利勝の目が光を帯びる。
「左衛門佐頼房が、参勤交代の任を終え国元に戻るのは、いつであったな?」
対馬守が懐から記録帳を取り出し、素早くめくる。
「来月、文月の初めでございますな」
利勝は小さく頷いた。
「好機じゃな。主なき江戸上屋敷など、ただの抜け殻。――その隙を突く」
外様大名の力を削ぎ、幕府の威光を天下に知らしめる――それが徳川の本懐。
このとき、江戸の奥深くで、再び歴史を揺るがす陰謀の歯車が、音もなく動き始めていた。
後編へつづく。
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